パリダカに出るには? (バイク)

パリダカに憧れている人、興味をもっている人に、見て頂ければと思います。 パリダカは思ったよりも、身近にあります!
参考までに、私のレベル・考えでの述べてみます。
Written By Osamu HOTTA (Rider)
主催者ASO や ヨーロッパのチームの努力により、ライダーのサポート体制が向上し、パリダカの敷居は年々低くなってきてます。
過去のように、全て自分でやる必要は無く、お金だけ支払えば、すべてお任せという方法も可能です。
ヨーロッパの選手は、良いチームを見つけ、手軽にパリダカに出場しています。

出場資格は誰にでもある!
パリダカの特徴として、プロとアマチュアがいっしょに競技することです。「パリダカーはプロが参加しても面白い、アマチュアのためのラリーである」。これはラリーの創始者ティエリー・サビーヌの言葉ですが、パリ・ダカールラリーはWRCなどとは異なり、プロでもアマチュアでも自由に参加できるレースです。
極端な例ですが、参加費と書類を揃えてエントリーし、レースの車検に合格できるバイクを準備し、フランスのスタート地に行けば、パリダカに出場できます。

いきなり出場しても大丈夫?
レース経験やラリー出場経験が無く、突然思い立ってツアー旅行感覚で出場するのは、避けて欲しいです。レースは多くの危険を伴うスポーツであり、パリダカではほぼ毎年のように死亡事故が発生しています。
まずは国内のモトクロスやエンデューロでレース経験を積み、海外のラリーに出場するなど経験を積んでからの出場がベターかと思います。また、出場前には、ヨーロッパへ行きパリダカ観戦し、下調べすることをお勧めします。
私の場合はパリダカに出場する前に、国内レースで経験を積み、ロシアンラリーやTBIといった国内のラリーに参加し、その後、オーストラリアンサファリやUAEデザートチャレンジなど参加しました。

必要な費用
2002年パリダカでは、フランスのチームに所属しバイクはレンタル、メカニックは約3人に一人、パーツとタイヤの準備はチームに依頼、このような必要最低限の体制で参加しました。この体制で実績を元に計算すると、1ユーロ=130円として、こんな感じになります。
エントリー費 130万円
レース経費 50万円
バイク レンタル 130万円
メカニック 130万円
タイヤ・パーツ 30万円
旅費 30万円
合計 500万円
費用は、ユーロ相場により変動します。
2002年大会出場時には1ユーロ=110〜120円で、私の場合、合計400万円弱で済んだのですが・・・。2002年実績詳細(PDF)
また、メカニックを1人連れて行くためには、参加費・サポートカーシート代など(メカニック報酬は除く)で+100〜200万円位は必要となります。

言葉の問題は?
コミュニケーションは必須です。少なくとも日常的なことやバイク・レースに関するやり取りが必要になります。パリダカではフランス語と英語でインフォメーションが行われます。日本語は通じないので、英語やフランス語もしくは、人によってはボディーランゲージなどのコミュニケーション手段が必要となります。
私の場合は英語です。レベルは中学生レベルの英会話なんですけど、何とかなります。
とはいえ、言葉の壁は厚いです。言葉が通じれば一言で済むことを伝える為に、何分も掛かっていたのでは、聞く方も話す方も疲れてしまいます。また、重要な情報を逃してしまう事もあるでしょう。(例えばスタート時間が1時間早まったなど)。言葉が通じれば何も問題がないのに、言葉が通じないが為に多くの問題を抱ることもあります。
言葉が通じれば、多くの参加者と気軽に会話し仲良くなる楽しみも増え、多くの情報を得ることができます。
ライディング技術は、どのくらい必要?
フランスのモトクロスチャンピオンだったメカニックの話ですが、「ラリーで重要なのは、腕は3割、頭が7割」と聞いたことがあります。その言葉のとおり、ラリーではライディング以外の要素も重要となります。
しかし、その3割のライディング能力は必須であり、それが無ければラリーを走りきることは出来ません。
どのくらいバイクに乗れればよいか?となると、難しいところですが。バリダカのコースは、バイクだけでなく4WD車やカミオンなども走ります。したがって通常はすごい難しいトライアルセクションのようなところはありません。コースはゴッツイ岩山や、大きな岩石が敷き詰めれれた平原、岩やキャメルグラスを避けながら走る砂漠などがあります。このような場面が何百キロと続き、ライダーの体力を消耗させる過酷な状態が続くのです。ここでライディング技術のある・なしによって体力の消耗の度合いも異なってくるでしょう。言うまでも無く、セクションタイムにも影響し結果を左右します。

バイク はどうやって用意するの?
現在では、自分で改造して作るメリットは、ほとんど無いです。どうしても自分で作りたい とか どうしても乗りたいバイクがある人でないかぎり、費用もかさむ上、耐久性の問題でレース中に苦労するだけです。
近年のパリダカでは、ヨーロッパの実績のあるチームで作ったラリー用バイクや、KTM社のラリー専用バイク(660 Rally)を買うケースが多いです。 市販バイクを購入し、自分でラリー用に改造するケースはめずらしくなってきています。
ヨーロッパの実績のあるチームで作ったバイクやKTMラリー専用バイクは完成度も高く、値段もお手ごろです。よっぽどの自作好きでない限り、自分でパイクを作るメリットはないです。
2002年に自分が使用したのはXR400をベースにフランスChallenge75で製作したバイクでしたが、マシントラブルと言えるトラブルは一切無く、転倒でレバーを折ったり、転倒でカウルを曲げたりした程度でした。

サポートは?
メカニック・スペアパーツ・ヨーロッパステージサポートなど、色々な場面でのサポートがあります。
実際には、全くのサポート無しで参加することは無理です。少なくとも、スタート前やヨーロッパステージでのサポートは必ず必要になります。
チームに所属すれば、ライダー数人にメカニック1人という形でメカニックを共有しコストを抑えることができます。また、スペア-パーツ等もチームでまとめて準備してくれるます。
自分のメカニックを準備したり、他のライダーと共同でメカニックを準備するパターンもあります。
メカニックなしで、参加している選手もいますが、疲れてキャンプに着いたあと、寝る間を惜しんでの整備となり、かなり大変そうです。
私の場合は、チームに所属し整備はメカニックに任せで、夕食をすませ、翌日のマップをバイクに付け、身の回りのことをすませたら、だいたい22時には就寝に付いていました。
ヨーロッパステージでは、ほとんどが移動区間となります。スペインでは、バイクは自走しないで車に積んで移動しても良い区間があります。この区間は約1000kmにもなりますので、サポートカーに是非とも積みたいところです。また、その日のゴール後バイクはパークフェルメと呼ばれるスペースに止めることが義務付けれれており、そこからホテルまでは自分で行く必要があります。次の日の朝時間どおりにパークフェルメまで向かうには、やはりサポートが必要です。その他にも防寒服やカッパ・身の回りの品をもってもらったり、バイクの修理など、を受けることが出来ます。ヨーロッパステージではほとんどの選手が家族や知り合いによるサポートをしてもらってます。
2002年の私の場合、最初は自分でもバイクの整備行い手伝うつもりでしたが、レースが始ってからはお任せでした。チームのライダーの中では1番先にキャンプに戻ってきたので、バイクをあずけると丁寧に整備してくれ、やっとくから、飯でも食べてきなーと言ってくれるほどでした。

スペアパーツやタイヤ
必要なスペアパーツを予想し購入しなければなりません。タイヤは大半の選手は、ミシュランデザート+ムースの組み合わせです。必要な本数は最低でも3〜4日で1本位は必要です。
さて、スペアパーツとタイヤをレース中どのように運ぶか?ですが、まず主催者が一定量の荷物を輸送してくれます。一定量とはスチールBOX1つ60kgまで+ホイール付きタイヤ2本までです。ただそのスチールBOXの中にはテントや寝袋などを入れなければなりら無いので、パーツを入れるスペースは限られます。 それ以上の荷物を運ぶには、どこかのチームのサポートカミオンのスペースを購入し、輸送してもらいます。
チームに所属する場合は、パーツやタイヤの手配と輸送は、チーム任せで済む場合がほとんどです。

チームを探し
パリダカを下見に行き、車検会場でバイクをみて幾つかの目ぼしいチームと話をして連絡先等を聞いておきます。その後、チェックしているチームのライダーの成績やゴールした台数を参考にして決めます。
フランスの雑誌では、パリダカの掲載が多くチームのバイクが紹介されたりすることもあります。その様な雑誌を見てチームを探すのも一つの方法です。また、パリダカ公式HPなどでもチーム紹介が掲載されています。パリダカ出場経験者やパリダカのオーガナイザーに問い合わせてみるのも良いでしょう。
車検の時や、スタート後など、ギリギリになってドタバタしてるチームも見かけるので、チーム選びは慎重に行った方がよいです。
日本ではTeamSUGAWARAが昨年より本格的サポートを始めてます。過去最多の出場回数を誇り、パリダカを知り尽くしたチームです。そして、何よりも日本語でのコミュニケーションが可能です。

ヨーロッパの選手はどうしてる?
チームを見つけて、バイクとメカニック・サポートは全てチームに任せている。エントリーを済ませ身の回りのアイテムをそろえたら、あとはスタートを待つだけです。スタート直前やヨーロッパステージでは家族が同行してサポートしている。
バイクの整備は全てメカニック任せが前提で、自分ではレバー交換くらいしか出来ないライダーが多い。


準備すること
最低限、どんな準備が必要なの?
準備すること
名目 詳細
エントリー レースのエントリー
用紙を主催者に送る
参加費支払 3回の分割払い
金融機関より海外送金
バイク手配 どこかのチームに依頼
or 自分で作る
サポート手配 メカニックを雇う
どこかのチームに所属する
サポート無しで自分でやる
タイヤ手配 日本・フランスで買う
スペアパーツ 日本・フランスで買う
どこかのチームに所属する
資材輸送 サポートトラックを探し、スペースを買う。所属チームに依頼
車体装備手配 GPS・バリース レンタル
義務付けられてる装備です
非常用装備 コンパス・発煙筒 など
義務付けられてる装備です
地図 購入 フランスで購入
義務付けられてる装備です
テント・寝袋 テント・寝袋・マット
ファーストエイド 義務付けられてる装備です
ライダー装備 ヘルメット・ブーツ・ウェア・プロテクター・キャメルバッグなど
その他アイテム ライト・電池・ペン・テープ等
レジャー服 キャンプ地での服
航空券 日本-パリ ダカール-パリ
ホテル予約 スタート前やヨーロッパステージとダカールでのホテル
フェリー スペインからアフリカへのフェリー申込み
バイク輸送 レース前後のバイク輸送 や ヨーロッパステージでのバイク輸送
ビザ 通過国の大使館へ
予防接種 医療機関へ
保険 バイクの保険 や 非常時送還費用の保険など
ガソリン レース中のガソリンサポート 主催者に依頼
保証金 レースの保証金 や GPS・バリースとうの保証金
休暇 会社員なら有給休暇の手配
これが重要


目標設定
どのような目標で出場するかにより、必要となる費用や準備内容・体制は変わります。
目標による難易度と費用
目標 難易度 費用
出場したい 易しい 安い
行ける所まで行きたい
完走したい ・・ ・・
レースがしたい ・・・ ・・・
好成績を残したい ・・・・ ・・・・
勝ちたい 難しい 高い
私の2002年の目標は「レースがしたい」でした。
出場するからには少なくとも完走することが目標であると思います。なので、ここでは「完走したい」という目標に照準を合わせてコメントします。


必要とされる能力
他のプロスポーツと同様に総合的な能力が必要。
参考までに、思いつくところをあげてみます。
必要とされる能力
能力
経済力 お金が掛かります。
無ければコツコツ貯金しましょう
行動力 「出たいな〜」 と思ってるのでなく、
すぐに具体的な行動しなければ!
語学力 フランス語or英語の日常会話レベルはあった方がいいです。
ボディーランケージ や 筆談もあり
ライディング技術 もちろんです
忍耐力 これが一番重要かもしれません
過酷さが売りのレースなので
ナビゲーション能力 もちろんです
基礎体力 もちろんです
環境順応性 気候の移り変わり
視力 大事です
判断力 大事です
整備技術 メカニックがいれば、要らない
レバー交換くらいできれば


必要なアイテム
2002年で私が携行したアイテムリストとその評価を作成しておりますので、こちらをどうぞ。
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